パリッとした食感、ほどよい塩味、スモーキーな味わいが、お酒やご飯と抜群に合ういぶりがっこ。
漬物の燻製としても有名ですが、大根の漬物をただ燻すだけではいぶりがっこにならないことはご存知でしょうか。
本記事では、いぶりがっこを製造・販売している燻製屋猫松がいぶりがっこの作り方を3つの記事にわけ、ていねいにご紹介します。
- いぶりがっこがどうやって作られているのかが気になる。
- 燻製屋猫松のいぶりがっこ作りのこだわりが知りたい!
という方は、ぜひご覧ください。
いぶりがっこ(燻り大根漬け)とは?
「いぶりがっこって何だっけ?」と思われた方のために、いぶりがっこが何かを簡単にご紹介します。
いぶりがっことは?
いぶりがっこは、秋田県の特産品として知られる大根の漬物です。
秋田のお土産でもらったことがある方や、和食メインの居酒屋や東北のお食事処などで「クリームチーズと一緒に食べたことがある」という方も多いのではないでしょうか。
いぶりがっこという言葉は、煙をくゆらすという意味をもつ「いぶり(燻り)」に、秋田の方言で“漬物”を意味する「がっこ」という2つの意味の言葉が組み合わせられています。
つまり、いぶりがっことは、“燻した漬物”のことなのです。
燻り大根漬けとは?
燻り大根漬けは、燻製屋猫松で販売している商品のひとつです。
販売の都合上、「燻した大根漬け」という見たままの名称を使用しましたが、世間でいうところのいぶりがっこと大差ありません。
本記事では、燻製屋猫松の燻り大根漬けのことも「いぶりがっこ」に表記を統一してご紹介します。
いぶりがっこは秋田で偶然生まれた
燻しはいぶりがっこの肝となる重要な工程ですが、この燻す工程は、実は意図的に作られたものではありませんでした。
いぶりがっこの起源は、その昔、漬物が食料の長期保存を目的に作られていた室町時代までさかのぼります。
当時、大根の漬物の代表格である「たくあん」は、大根を天日干しにして漬け込むのが一般的でした。
しかし、秋田県は本州最北端・青森県の南西に位置する雪深い地域。山間部が多いうえに、日照時間が短く、気温も低い。
そんな秋田では大根を天日干しにすることができず、大根をいろりのある屋内に干したのがいぶりがっこの起源とされています。
いぶりがっこは厳しい冬の保存食として秋田の地に根付き、県南を中心に今もなお、多くの県民に愛されています。
いぶりがっこの作り方:完成までの流れ
いぶりがっこについて詳しくなったところで、早速、いぶりがっこができるまでの流れをみていきましょう。
- 大根の生育
- 燻し小屋の準備
- 大根の収穫・切り洗い・運搬
- 大根の紐かけ
- 薪の準備・着火
- 燻煙(燻しの工程)
- 回収・運搬
- 漬け込み
- 樽上げ・洗浄・ガス抜き
- カット・真空パック
- 煮沸殺菌
- 完成!
今回は、燻製屋猫松で作るいぶりがっこの「大根の種まき〜燻し前」までの製造工程を詳しくご紹介します。
なお、燻製屋猫松のいぶりがっこは農事法人さんと協業して作っているため、ほぼ全ての工程で農事法人さんが登場することを前提にお読みいただけると幸いです。
いぶりがっこの作り方:大根の生育
まずは、美味しいいぶりがっこには欠かせない「大根の生育」から。
大根の種まきは例年、お盆終わりの8月中旬〜下旬にかけて行い、9月〜10月の2カ月間で大根を大きく育てます。
大根に限った話ではありませんが、作物の生育に何より重要なのは天候です。
特に、90%以上が水分とも言われている大根には、十分な水分とほど良い日光が欠かせません。
よってこの時期は、農業法人さんと一緒に「良い天気に恵まれますように……!」と天に祈る期間でもあります。
ちなみに燻製屋猫松の大根は、いぶりがっこに適した品種を使用しているのが密かなこだわりです。
いぶりがっこの作り方:燻し小屋の準備
大根生育の裏で行うのは、燻し小屋の準備です。
大根は左右の2軸(頭とお尻の部分)で吊るした状態で燻すので、大根の収穫までに吊るし紐をカットし、燻し小屋・天井付近の鉄骨に掛けておきます。
燻製屋猫松の燻し小屋は1度に最大1,600本ほどの大根を吊るすことができるようになっているのですが、準備を行うのはたったの2名。
まさに骨の折れる作業です。
事前準備で最も時間がかかるのは、紐を吊るす作業ではなく、意外にも吊るし紐をカットする作業です。
両軸の紐の長さが違うと大根のバランスが崩れ、吊るしたり燻したりする最中に大根が滑り落ちるおそれがあるため、同じ長さを目指して、毎年数百本をていねいにカットしています。
このタイミングで、必要に応じて燻し小屋そのものの改修も行います。
いぶりがっこの作り方:大根の収穫・切り洗い・運搬
2カ月間かけて生育させた大根は、10月下旬〜11月上旬に収穫します。
1度に燻すことができる大根の収穫、大根の選定、洗浄、葉っぱやひげの切り落としなどの工程は、主に農業法人さんによって行われます。
こうして綺麗になった1,000本以上の大根を、車で40分ほどある燻し小屋に運び出し、燻していくまでが一連の流れです。
この流れを、植えた大根が尽きるまで、4〜5回に分けて繰り返します。
さて、今回のご紹介はここまで。
次回は気になる方も多いであろう「大根を吊るす〜燻す」工程をご紹介します!
いぶりがっこは燻製屋猫松の人気商品!
いぶりがっこは、大根の生育から完成までで約5カ月、大根の生育抜きでも完成に3カ月ほどかかる非常に手間のかかる漬物です。
作る労力は、漬物のなかではトップクラスでしょう。
しかし、「美味しい!」をお届けしたいという一心で、丹精込めていぶりがっこ作りをする作り手やメーカーが大半かと思います。
燻製屋猫松もそのような思いでいぶりがっこを作っておりますので、いぶりがっこを食べる際はぜひ私たちの思いも噛み締めながらお召し上がりいただけると非常に嬉しいです!
「燻製屋が作るいぶりがっこ」が気になった方は、ぜひネットショップも覗いてみてくださいね。
次回の記事はコチラ!
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